しらす干し?ちりめんじゃこ?
しらす干しは、かたくちいわしの稚魚を食塩水で茹でて、干したものです。乾燥の度合いの柔らかいものを「しらす干し(白子干し)」固く干したものを「ちりめんじゃこ(縮緬雑魚)」と呼びます。関東ではしらす干し、関西ではちりめんじゃこと呼ぶのが主流ですが、現在では、その区別はあいまいになってきているようです。
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当病院がある広島県では、ちりめんじゃこと呼ぶ方に親しみがあり、2~3cmと大きめのものを「かえり」と呼びます。
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なぜ、ちりめんじゃこと呼ばれるのかというと・・・ごく小さな魚を平らに広げて干した様子が、細かなしわをもつ絹織物のちりめんを広げたように見えることから、この名前がつきました。
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ちりめんじゃこは、骨まで食べられる魚なので「カルシウム」を多く含みます。カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルで、体内カルシウムの99%は、骨や歯などの硬い組織に含まれており、残りの1%は、血液や筋肉、全ての細胞に含まれています。この1%がとても大切で、神経の興奮を抑制する働きがあり「カルシウムが不足するとイライラする」といわれるのはこの為です。また、血液凝固や筋肉収縮、細胞の機能調節、ナトリウムを排泄して血圧上昇を防ぐ働きなど、重要な役割を担っています。
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カルシウムの吸収率は、牛乳・乳製品は約50%、小魚は約30%、青菜は約18%です。小魚は、昔から日本人がカルシウム源として食してきた馴染み深いものです。
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食の欧米化から、あまり食べられなくなってきましたが、ちりめんじゃこは日本の食文化のひとつです。メインのおかずにはならない脇役ですが、もっと食卓に登場する回数が増えてほしいものです。
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ちりめんじゃこには、まれに小さなタコやエビ、カニが混ざっている場合があります。ちりめんじゃこを買った際には虫メガネで探してみてはいかがでしょうか。もしかしたら、小さな小さなタツノオトシゴに出会えるかもしれません。