冬こそ食べたいみかん
あけましておめでとうございます。当病院のある北広島町は元日から雪が積もり、寒い日が続いています。そんな寒い冬の楽しみの一つが、みかんです。こたつで食べると一層おいしく感じられるから不思議です。みかんにはおいしいだけでなく、冬にぴったりな栄養が詰まっています。
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みかんは漢字で蜜柑と書きます。蜜のように甘い柑橘だから、蜜柑と呼ばれるようになりました。
一般的にみかんといわれるのは「温州みかん」で、江戸時代に中国から鹿児島に伝わった柑橘の種から突然変異で生まれた、日本原産の品種です。温州は中国の地名で、柑橘の中心的産地であったことにちなんで名づけられたといわれています。
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みかんに含まれる代表的な栄養といえば、ビタミンCです。みかん1個に1日に必要なビタミンCのおよそ3分の1が含まれます。ビタミンCには、ウイルスの活動を弱めて免疫力を高めるはたらきがあり、風邪を予防します。さらにシミを防いだり、コラーゲンの生成を助けるので美肌効果も。ビタミンCは野菜やじゃが芋にも多く含まれますが、熱に弱く、調理によって失われやすいので、生で食べられるみかんはビタミンCの効率的な供給源といえます。
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また、みかんの黄色の色素成分である『β-クリプトキサンチン』は、果物の中でも特に豊富。同じ柑橘類のオレンジと比べると約60倍にもなります。β-クリプトキサンチンは、皮膚や粘膜を丈夫にするはたらきがあるため、ウイルスから体を守ってくれます。ビタミンCとの相乗効果によって風邪予防にはまさにうってつけです。
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ところで、みなさんはみかんを食べるとき、白い筋を取りますか?ついつい取ってしまいたくなるあの白い筋、実は『ビタミンP(ヘスぺリジン)』という栄養素が含まれています。ビタミンPは、毛細血管を丈夫にし、動脈硬化や高血圧を抑制する作用があり、注目されています。さらに食物繊維も豊富なので、白い筋や果肉の袋はそのまま食べるのがおすすめです。
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みかんをたくさん食べすぎると手が黄色くなってしまうことがありますが、これはみかんの色素が汗とともに排出される際、皮膚の脂肪を着色する「柑皮症(かんぴしょう)」といわれる症状です。とくに害はなく、新陳代謝によって自然と治るので心配ありません。しかし、食べ過ぎは体を冷やしてしまうこともあるのでほどほどにしましょう。
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そんな私たちになじみ深いみかんですが、年々消費量が低下しているようです。総務省の家計調査によると、1世帯当たりのみかんへの年間支出金額は、1991年で9,344円、2011年は4,337円と半分以下になっています。畳からフローリング、こたつからテーブルへと生活様式が変わっていく中で、こたつにみかん、という日本の冬のおなじみの風景も少しずつ見られなくなっているのかもしれません。
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みかんをはじめ、旬の果物はおいしいだけでなく、その時期に私たちの体にとって必要な栄養素が豊富に含まれています。寒い冬ならではの味を、ぜひ楽しんでみてください。