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栄養レシピ&コラム 2015年公開分
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春の緑を食べよう

春の緑を食べよう

 春から初夏にかけて旬を迎えるふたつの野菜、グリーンアスパラガスとグリーンピースを紹介します。この時期ならではのさわやかで力強い味をぜひどうぞ。
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 アスパラガスには、ふだんよく見かけるグリーンアスパラガスと、土をかぶせて日に当たらないよう栽培したホワイトアスパラガス(主として水煮缶詰)があります。アスパラガスはヨーロッパでは紀元前から栽培されていましたが、日本に伝わったのは観賞用として江戸時代に、食用として栽培されたのは大正時代になってから。当時は欧米への輸出用缶詰に使うホワイトアスパラガスが主流でした。その後、国内でも缶詰を食べるようになり、現在のようにグリーンアスパラガスを主に食べるようになったのは、昭和40年代以降のようです。冷涼地を好むため、北海道が主要産地ですが、長野、秋田、群馬、九州などでも栽培されています。
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 グリーンアスパラガスの注目すべき栄養素は、アスパラギン酸とルチン。アミノ酸の一種のアスパラギン酸は、アスパラガスから発見されたため、この名前がつきました。グルタミン酸に似たうま味があり、糖質の代謝を促進し、疲労回復効果があります。穂先の部分に多く含まれるルチンは毛細血管を丈夫にする働きがあり、動脈硬化や高血圧予防効果、さらには活性酸素の除去作用などが期待できます。その他にもカロテン、ビタミンB群、カリウムなども豊富に含まれています。
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 美味しいアスパラガスの見分け方は、茎が太めでまっすぐ伸びてみずみずしいものを、穂先はふっくらしているが、開いておらず締まったものを選びましょう。根元側は皮が固く筋っぽいので、1~2cmほどを手でポキンと折り、根元側1/3位はピーラーで薄く皮をむきます。
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 茹でるときは、水溶性の栄養素の流出を防ぐため、できるだけ切らず1本まるごとで茹でましょう。沸騰した湯に根元側を先に浸けて10秒、全体を浸けて40秒~1分、ザルにとり水には落とさずそのまま冷ますと、水っぽくならず香りもしっかりと残ります。炒め物や揚げ物には、茹でずにそのまま調理するとよいでしょう。保存は湿らせた新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で立てて保存を、あまり日持ちしないので早めに食べきって、固めに茹でて冷凍保存も可能です。
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 グリーンピースはエンドウマメの未熟果です。若いさやを食べるのがサヤエンドウ、未熟果の実を食べるのがグリーンピース、近年はさやと実の両方を食べられるスナップエンドウも人気があります。完熟した実を乾燥させた青エンドウマメは、あんこや煮豆、炒り豆として食べられます。
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グリーンピースは豆と緑黄色野菜の両方の栄養と美味しさを併せ持っています。豆のように糖質やたんぱく質に優れ、また緑黄色野菜のようにビタミンやミネラル類が豊富な栄養価の高い野菜です。なかでも多く含まれるビタミンB群は、新陳代謝を円滑にし、疲労回復効果があります。カロテンやビタミンCは免疫力を高め、老化防止や美肌効果なども期待できます。
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 購入するときは、さやつきのものを選びましょう。さやがふっくらとして、豆の形が外から少しわかるものは、実入りがよく粒ぞろいです。さやから出したら乾燥して固くなるのですぐに茹でるのが鉄則。塩少々を加えた熱湯に入れたら、弱火であまりグラグラさせないよう2~3分、ザルにあげたら水に落とさない方が甘みや香りがより残ります。皮にしわを寄せたくない場合は、茹で上がりに少しずつ水を加え、急激に冷まさないようにするとよいです。缶詰や冷凍で一年中手に入るグリーンピースですが、生の味と香りは格別です。この時期にしか食べられませんので、彩りや添えものとしてだけではなく、スープや炒め物、煮物などでたっぷり食べたいものです。
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 グリーンアスパラガスとグリーンピース、どちらも鮮度が大切。私たちも栄養豊富なふたつの緑を食べて、体を目覚めさせ、いきいきとした春を過ごしましょう。